旅譜師《たびふじ》
譜は答えを残すためではない。
次の誰かが問いを描き足すためにある。
「譜文明《ふぶんめい》」と呼ばれる世界がある。
そこでは、文字よりも絵や記号、色、そして余白を組み合わせて描かれる「譜《ふ》」が、人と土地、記憶と歴史をつないできた。
主人公・ひよりは、旅譜師《たびふじ》組合の初級認定を受けたばかりの、まだ未熟な旅譜師《たびふじ》。世界を救う英雄ではなく、消えゆく土地や人々の記憶を、譜として残すために旅を続けている。
正しく残すこと。描かずに残すこと。ひよりは各地を歩きながら、その間で少しずつ揺れ、学び直していく。
第一話
消えかけた墓譜《はかふ》
街道から外れた小さな村で、ひよりは消えかけた一枚の墓譜と出会う。描くこと、描かないこと──旅の中で彼女が初めて向き合う問い。